銅製品はその美しい輝きと優れた導電性から、家庭用品から工業製品まで幅広く利用されています。
しかし銅は時間が経つにつれて酸化し、表面がくすんだりサビが発生したりします。
身近なものでは10円玉が黒ずんで見えるのもこれにあたります。
10円玉をわざわざキレイにさせるような機会はほぼ無いと思いますが、銅で出来た鍋や銅製の部品などの場合なら、該当する方もいるのではないでしょうか?
銅を含む金属類をピカピカにする方法はいくつかありますが、なるべく手軽に済ませたいですよね?
そこで登場するのがトイレ用洗剤の「サンポール」です。
サンポールには塩酸が含まれており、化学反応により表面に付いた酸化物を除去することで銅の表面がキレイになります。
本記事では「サンポール」を使って銅製品をピカピカにする方法・注意点、安全な取り扱い方法について紹介します。またピカピカにした後の、酸化を防ぐアフターケアの方法も合わせて紹介しています。
- サンポールを使用した銅磨きの手順と注意点
- 家庭にある材料を使った簡単な銅磨き方法
- 銅製品を長持ちさせるための定期的な手入れ方法
- 銅製品の適切な保管方法
※トイレ以外でのサンポールの使用は用途外ですので自己責任となります。
「サンポール」とは?
塩酸を主成分とする洗剤で、主にトイレの尿石や黄ばみ・黒ずみ汚れを落とすために使用されます。
強力な酸ですので、金属表面の酸化物やサビを効果的に除去することができます。
具体的には、塩酸の酸化還元反応を利用して、銅の酸化物を溶解し、元の美しい輝きを取り戻すことができます。
サンポールには主成分の塩酸と界面活性剤がふくまれており、以下の機能を果たしています。
主成分 | 機能 |
---|---|
塩酸 | 金属酸化物の溶解 |
界面活性剤 | 汚れの浮き上がり |
銅をピカピカにする理由とメリット
銅は酸化しやすく、そのまま放置すると緑青が発生し、見た目が悪くなるだけでなく、導電性や熱伝導性が低下することがあります。
そのため銅製品をピカピカにすると、美観の向上だけでなく、製品の寿命を延ばしたり、性能を維持するために重要です。
実際に銅製の調理器具の場合、以下のようなメリットが得られます。
- 美観の向上:酸化によるくすみが取れ、元の光沢を取り戻します。
- 性能の維持:酸化物が除去されることで、熱伝導性が向上し、調理効率が上がります。
- 製品寿命の延長:定期的なメンテナンスにより、銅製品の寿命が延びます。
サンポールを使った銅磨きのやり方
必要な道具と材料
- サンポール:銅の酸化物を溶解するための強力な酸性洗剤。
- プラスチック容器:サンポールを入れて銅製品を浸すための容器。
- ゴム手袋:酸性洗剤を扱う際の安全対策として。
- 保護メガネ:洗剤が目に入らないようにするため。
- ブラシ:銅の表面を磨くための柔らかいブラシ。
- 重曹:サンポール使用後の中和剤として。
- 水:洗浄後にサンポールや重曹を洗い流すため。
アルカリ濃度が高すぎると逆に変色する場合も…
重曹の代わりに、アルカリ系の洗剤でも代用可能です。
ただし、塩素系洗剤は有毒ガスが発生し、危険ですので使用しないでください。
中性洗剤を使用される場合はしっかり洗い、成分が残っていない状態にしないと、サビやすくなるのでご注意ください。
サンポールを使う具体的な手順
作業場所を確保し、保護メガネとゴム手袋を着用します。
プラスチック容器に適量のサンポールを注ぎます。
銅製品をサンポールに浸します。10円玉など小さなものなら数分、大きな銅鍋などは10〜15分程度浸します。
サンポールの酸が酸化物を溶解し、銅が輝きを取り戻すのを待ちます。
ブラシを使って優しく磨きます。汚れや酸化物が取れやすくなっています。
銅製品を流水でしっかりと洗い流します。
重曹を溶かした水や、アルカリ性の洗剤で銅製品を洗います。これにより残留する酸を中和します。
アルカリ濃度が高すぎる場合も、逆に変色する恐れがあります。なるべく中性に近いものをお使いください。
銅製品を柔らかい布で拭き取り、完全に乾かします。
この方法を用いると、くすんだ銅が再び輝きを取り戻し、ピカピカになります。
つけ置きだけでは、完全にキレイにならないことがあるため、ブラシ等でこするとよりキレイになります。
サンポールを使う際の注意点
サンポールの安全な取り扱い方法
主成分である塩酸は強い酸性を持ち、適切に取り扱わないと皮膚や目に重大な損傷を与える可能性があります。
サンポールのような強酸性の洗剤は人体に対して強い腐食性があり、特に目や皮膚に直接触れると危険です。したがって、以下の安全対策を徹底する必要があります。
- ゴム手袋の着用:手を保護するために必ずゴム手袋を使用してください。
- 保護メガネの着用:目を保護するために保護メガネを着用します。
- 換気の確保:使用中は必ず換気を良くし、閉鎖空間での使用を避けます。
- 皮膚や目に触れた場合の対処法:万が一、皮膚や目に触れた場合は、すぐに大量の水で洗い流し、必要に応じて医師の診察を受けてください。
塩素系の洗剤と混ぜない
酸性洗剤と塩素系漂白剤を誤って混ぜた場合、強力な塩素ガスが発生し、吸入すると呼吸器に深刻な影響を及ぼす可能性があります。これにより、目や喉の痛み、呼吸困難などの症状が引き起こされます。
酸性洗剤と塩素系洗剤を混ぜることは非常に危険です。これらの洗剤を使用する際には、混合しないように注意し、使用前にラベルをよく確認することが重要です。
銅をピカピカにするその他の方法
酢(レモンも可)や塩で銅の酸化物を取り除く
- 酢1カップに塩大さじ1を混ぜます。
- 銅製品にこの混合液を塗布し、柔らかい布で擦ります。
- 酸化物が溶け出し、銅が輝きを取り戻します。
- 水で洗い流し、乾いた布で拭きます。
家庭にある材料で手軽に銅がピカピカになります。
ピカールなどの粒子の細かい研磨剤で磨く
粒子の荒いクレンザーは、キズをつけ緑青の原因になるのでご注意ください。
おすすめはピカールなどの粒子の細かい研磨剤です。
ピカールと同様に、銅や真鍮にも対応した「Brasso(ブラッソ) 多目的メタルポリッシュ」もおすすめです。
使用方法は柔らかい布に適量を取り、銅製品を擦ります。次第に汚れや酸化物が布に移り、銅が輝いてくるので水で洗い流し、乾いた布で拭きます。
防錆処理と長持ちさせるコツ
鍋には使用できませんが、防錆剤を塗布することで酸化を防ぎ、銅の表面を保護します。
防腐剤の例としては「エステー 超浸透性防錆潤滑剤スプレー WD-40 」や「KURE(呉工業) 5-56 」などがあります。
また、適切な保管をおこなうことで再酸化を防ぎます。
湿気の少ない場所に保管することや、乾燥剤を使用して湿度をコントロールすることが大切です。
銅製品を長持ちさせるためには、定期的な手入れと適切な保管が欠かせません。防錆処理や湿度管理を行い、銅製品を美しく保ちましょう。
安全面と使用方法に注意すれば手軽に銅がピカピカになる
銅製品をピカピカに保つための適切な手入れと対処法について、この記事で紹介しました。
日常的に使用する銅製品は時間とともに酸化しサビや変色が発生します。
しかし適切な手入れを行うことで、これらの問題を解決し、銅の美しさを長期間維持することが可能です。
サンポールを使用した銅磨きは非常に効果的で、短時間で酸化物を除去することができます。
ただし強い酸性の洗剤ですので、安全面を配慮する必要があります。
また防錆処理を行うことで、酸化を防ぎ、銅の輝きを維持することができます。
保管場所も湿気の少ない所や、乾燥剤を使用して湿度をコントロールすることも重要です。