鍋やフライパン底についた茶色い汚れ、ほとんどの場合は油汚れやコゲが原因なのでアルカリ性の洗剤で掃除するのがセオリーですが、掃除したのに思ったほど落ちていないこともあります。
強力なアルカリ洗剤を使っていないことが原因の場合もありますが、使っているのに取れない場合は、実は汚れではなく変色が原因かもしれません…
鍋やフライパンは熱によって素材が変色し、茶色くなることがあります。
コゲと間違えやすいため、アルカリ性の洗剤を使ってしまいがちですが、実際は効果はありません。
茶色く変色したシミを消す方法は、強力な酸性洗剤を使うことですが、やり方・どんな洗剤が効果あるのか本記事で紹介しています。
- 鍋やフライパン裏の茶色い汚れ・シミを消す方法
- 消すための洗剤はどんなものがあるか?
- 使用時の注意点
- 使用後はどのくらいキレイになるか?
鍋がヤケて変色する原因と仕組み
以下の3つが茶色に変色する原因です。
- 空焚き
- 鍋の内容物が少ないまま加熱する
- 強火によって高温になる
ステンレス(Stain less Steel)はさびにくい鋼として知られています。訳すと(「Stain」さび)(「less」少ない)(「Steel」鋼)。とそのまんまです。
さびにくい理由は、ステンレスに含まれる成分(クロム)が酸素によって酸化し、表面に酸化被膜(不動態皮膜)が作られ、この被膜によってさびにくくなります。
つまり、さびにくくする表面の酸化被膜が加熱されることで、茶色に変色しています。
重曹ペーストでは落とせない
重曹や油を溶かすアルカリ性の洗剤を使っても、変色しているためステンレスのヤケは消せません。
また、マイルドな研磨剤の役割として使われる重曹ペーストでは、研磨力が弱いため十分な効果が得られません。
中にはクレンザーで削る方もいますが、スリキズが付くのでやめた方がいいです。
虹色の変色はクエン酸や酢で取れる
ヤケと似たようなものには、水に含まれるカルシウムやケイ素などの成分によって虹色に変色することがあります。
落とし方はクエン酸や酢を使用することで簡単に消せます。
サンポールなど酸性度の強い洗剤で溶かす
クレンザーで削るよりも簡単な方法は、酸性度の高い洗剤で溶かすことです。
酸性洗剤といっても種類が多いので、どれを使えばいいの?となりますが、見分け方は「塩酸」もしくは「硫酸水素ナトリウム」が入ったものを選びます。
主にトイレの尿石を溶かす洗剤に入っていることが多いです。
液剤が垂れて他の部分を傷めない為にも、なるべくジェルタイプをご利用ください。
今回使用したのは、アイオン トイレの黄ばみ・尿石洗浄剤ジェルです。
アイオン トイレの黄ばみ・尿石洗浄剤の特徴
NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」をはじめ、多数のメディア出演されている、世界一清潔な羽田空港のカリスマ清掃員「新津春子」さんと、超吸水スポンジなどくらしの便利アイテムを手掛けるアイオン社がコラボした洗剤です。
特徴は、ジェルタイプの濃厚洗浄剤が便器のフチ裏に密着し、黄ばみ・尿石を除去します。
便器以外に、便座・フタなどの樹脂、クッションフロアの床にも使用できるため、これ1本でトイレまわりに使えて、除菌効果もあるので、アンモニア・雑菌によるトイレの臭いも消臭できます。
商品の詳細
品名 | アイオン トイレの黄ばみ・尿石洗浄剤 |
---|---|
容量 | 280mL |
液性 | 酸性 |
成分 | 硫酸水素ナトリウム(15%)、界面活性剤(ポリオキシアルキレンアルキルアミン)pH調整剤、安定化剤、増粘剤、水軟化剤 |
用途 | トイレ周りの洗浄 |
使用可能なもの | 便器等の衛生陶器、便座・フタなどの樹脂、クッションフロア等の床 |
使用できないもの | 金属・大理石・木製類、壁面、素材が不明なもの、塗装・表面加工しているもの、表面に割れやキズ、劣化がある素材 |
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茶色い変色を消す。代用できるその他の洗剤
アイオンのトイレの黄ばみ・尿石洗浄剤以外に、代用できる効果のある洗剤をまとめました。
作業しやすいジェルタイプで絞っています。
品名 | アルファックス 尿石除去剤 | カインズ(CAINZ) トイレの尿石取り | 茂木和哉 トイレ尿石落とし | アイメディア スカッと尿石取り |
容量 | 100g | 80g | 100g | 160g |
価格 | 881円 | 698円 | 850円 | 918円 |
成分 | 界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)、塩酸(9.9%)、スルファミン酸(0.1%)、増粘剤、分散剤 | 塩酸(9.9%)、スルファミン酸(5.0%)、界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)、増粘剤 | 塩酸(9.9%)、スルファミン酸(0.1%)、蟻酸、増粘剤、粘度安定剤、非イオン界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)、腐食抑制剤 | 界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル),塩酸(9.9%),スルファミン酸(5.0%),増粘剤 |
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4種類とも塩酸が9.9%入っているので、茶色い変色は十分に取れます。
アルファックス尿石除去剤
業務用の強力洗剤が、インテリアになじむシンプルラベルで登場。
同シリーズのジェルピカには、カビ取り用・コゲ取り用があります。
塩酸9.9%とスルファミン酸0.1%入っています。
カインズ(CAINZ)トイレの尿石取り
ジェルタイプの中では価格が最も安く、コスパ最強です。
塩酸9.9%とスルファミン酸が5%入っています。
ツンとしたニオイが少ない低臭タイプもおすすめなポイント。
茂木和哉トイレ尿石落とし
他のタイプより酸の種類が多く入っています。
塩酸(9.9%)、スルファミン酸(0.1%)、蟻酸の3つ。
蟻酸(ギ酸)はカルボン酸の一つで、アカアリ・ハチ等の毒腺内にある、刺激性の酸で危険性が高いため、便器以外での使用はあまりおすすめしません。
アイメディアスカッと尿石取り
他よりも1.5倍の量(160g)が入っていますが、価格は差がないため、使用後は便器にもたくさん使いたい方におすすめです。
塩酸(9.9%),スルファミン酸(5.0%)が入っています。
とにかく安くするならサンポール
ジェル状ではないため、垂れないようにする工夫が必要ですがコストを抑えるならサンポールが最適です。
市販で購入できる塩酸入りのものでは1番安い洗剤です。
塩酸も9.5%入っているので、効果は十分です。
鍋とフライパン裏側のヤケを消してみた
茶色いシミを消す手順は鍋・フライパンとも同じです。
準備したものは以下の4つ
- 洗剤(ジェルタイプ)
- 使い古した歯ブラシ
- 下に敷く布
- ゴム手袋
サンポールのようなジェル状ではない洗剤を使用する場合は、こまめに拭き取るためにキッチンペーパーなどをご使用ください。
変色した鍋の裏側の使用前後
鍋以外の部分に洗剤が付かないように、下にタオルなどを敷いて作業します。
使用した鍋は、購入して2年近く経過した毎日使用しているもので試しました。
中心部分が特に茶色くなっていますす。
直接洗剤をつけます。
ジェル状なら垂れにくいため、他の素材を傷める心配もありません。
歯ブラシで底面全体に広がるように塗り広げます。
10秒程度放置して円を描きながら歯ブラシでこすると、徐々に茶色のシミが消えていきます。
様子を見ながら、シミが消えた時点で洗い流し、食器用洗剤でさらに洗います。
洗う際はシンクにも液剤が付着するため、鍋とシンクの両方を液剤が残らないよう、念入りに洗い流しましょう。
液剤が残っていると、シンクのステンレスが酸ヤケを起こし黒っぽく変色します。
洗い流して拭き取った状態
茶色いシミは完全に消えたと思います。作業は3分程度で終わります。
変色したフライパン裏側の使用前後
鍋以外にもフライパンでも使用してみました
上半分は「コゲ落としジェルPOWER」で掃除した後の状態です。
キレイになったように見えますが、うっすらと茶色く変色しています。
コゲが取れた状態と、残っている状態で違いが出るのか比較してみました。
上半分と、コゲが残っている下側の左半分に洗剤を塗り広げます。
鍋の時と同様に歯ブラシでこすって洗い流します。
掃除後の状態
上側と左下を比べると、どちらも茶色い変色は消えました。
左下はコゲが残っているので、アルカリ性の洗剤で落とすしかないですね。
コゲがやや残っていますが、別角度で見るとこのようにピカピカになりました。
使用前後。うっすらと付いた茶色いシミが消えました。
使用時の注意点
塩酸や硫酸水素アンモニウムは、酸性度が高いためキッチンシンクなどのステンレスに付着すると短時間で酸ヤケを起こし変色します。
使用する場所・洗い流す際など以下の3つはご注意ください。
- タオルなど敷いて作業する
- シンク内ではやらない
- 洗浄後は洗い流す
- 素手でやらない
- 塩素と混ぜない
シンクのステンレスは鍋やフライパンの素材より変色しやすく、長時間つけていると酸ヤケを起こします。
洗い流す際を含め、シンクに液剤が付いた場合はすぐに洗い流すようにしましょう。
また、クエン酸などよりも強力な酸なので、使用時は必ずゴム手袋を着用し、素肌に付かないように気を付けましょう。
当たり前ですが、ハイターなどの塩素系の洗剤と混ざると有毒ガスが発生せて危険ですのでご注意ください。
まとめ
鍋・フライパン裏の茶色く変色したシミの消し方について紹介してきました。
強力な酸性洗剤(塩酸や硫酸水素ナトリウムが入ったもの)でないと効果がないため、必然的に「トイレの尿石用」の洗剤を使うことになります。
既にトイレ用で使用した物は気持ち悪くて使えませんが、新品のものならマシなのではないでしょうか?
一般の方が知らない、洗剤メーカーの裏事情
尿石用とパッケージに表記したものでも水垢用として表記を変えても問題ない商品など、数多く存在します。
メーカーの都合で洗浄能力はキッチンの油汚れ用なのに、全く逆の汚れのトイレ用として推奨された商品などもあるため、パッケージに記載された「○○用」は気にしすぎない方がいいと思います。
ただし、用途外の使い方になる場合は自己責任になるため、判断が難しいこともありますが…
本記事で使用した洗剤