浴室に発生するカビや水垢以外に代表的な汚れである「石鹸カス」
石鹸カスの洗浄には酸性の洗剤を推奨されるのが一般的ですが、実際使用しても落とせない場合もあります。
落ちない理由は以下の3つ
- 洗浄力が足りていない。
- 汚れの性質に合った洗剤を選んでいない。
- 2種類の石鹸カスが混ざり合っている
石鹸カスには酸性・アルカリ性、それぞれの性質を持つ汚れがあるため、汚れの性質と逆の性質を持つ洗剤でないと効果が発揮されません。
商品パッケージに「石鹸カスに効果がある」と記載されていても、メーカーによって石鹸カスの定義が違うため、見極めて2種類の汚れに効果のあるものを選ぶ必要があります。
そこで本記事では、2種類の石鹸カス汚れとはどんなものなのか?適した洗剤の選び方や、混ざり合った汚れはどうするのか?効果のあるおすすめの洗剤など。を紹介しています。
石鹸カスとは?
石鹸を使った後に浴室やシンクに残る白い残り物、それが石鹸カスです。
手や体を洗ったり、食器を洗ったりする際に使う石鹸は、水と組み合わせることで泡が発生し、汚れを浮かび上がらせて洗い流します。
しかし、その際に泡や石鹸成分が残り、それが石鹸カスとして残ることがあります。
石鹸カスには、主に石鹸の成分である脂肪酸塩や石鹸の主成分であるアルカリ性の化合物が含まれます。
これらの成分は水と反応して泡を作り出し、汚れを取り除く役割を果たします。しかし、洗浄が終わった後でも残る場合があります。
石鹸カスを放置すると、どうなる?
石鹸カスが残ると、見た目が悪くなるだけでなく、滑りやすくなったり、カビや雑菌の繁殖の原因にもなります。
特に浴室などの湿気の多い場所では、石鹸カスが原因で滑りやすく危険性も高まります。
汚れが蓄積していき落とす事が難しくなる
石鹸カスを放置していると、金属石鹸と酸性石鹸の2種類の汚れが蓄積します。
金属石鹸の場合は時間の経過とともに硬さが増し、酸性石鹸はベタついて壁や床に頑固にへばり付き落としづらくなっていきます。
また、2種の汚れが混ざって蓄積していくと、より落としにくい汚れとなっていきます。
こまめに掃除しておくことが、後々の掃除の負担を減らすコツです。
お風呂の排水が詰まる可能性も
お風呂の排水口には水やお湯と一緒に、髪の毛や石鹸の泡が流れ込んでいきます。
排水口の上部には大抵の場合ヘアキャッチャーが被さっているため、長い髪の毛や大きな石鹸カスはキャッチャーでせき止めることが可能です。
しかし大量の水が流れ込んだ際には細かい髪の毛や石鹸カスがキャッチャーを通過して、排水口の内部へと流れこんでしまうこともあります。
排水口の内部に髪の毛や石鹸カスがいったん付着すると、そこから汚れがどんどん蓄積していきます。
石鹸カスの塊が大きくなると、最悪の場合には排水口の詰まりを引き起こします。
排水口内部は直接掃除することはできないため、髪の毛や石鹸カスが排水口に流れないように対処することが大切です。
ヘアキャッチャーがせき止めてくれた髪の毛や石鹸カスは、入浴後にすぐに取り除いておきましょう。
万が一詰まりが発生した場合は、パイプ洗浄剤で掃除しますが強力な粉末タイプのものでないと効果がありません。
石鹸カス汚れの種類
白っぽい汚れの金属石鹸
白い石鹸カスの正体は、金属石鹸です。
水道水にはカルシウムやマグネシウムといった、金属イオンが含まれています。
一方で石鹸には油脂成分が含まれており、この油脂と水道水の金属イオンが反応することで金属石鹸カスが発生します。
金属石鹸はアルカリ性の性質を持ち、水垢と同じく頑固で落としにくい特徴があります。
黒っぽい汚れの酸性石鹸
体を洗った際に出る、皮脂汚れと石鹸の油脂成分が反応してできるのが、酸性石鹸です。
発生しやすい場所は、床や壁・浴槽の化粧パネルなど。
これらは酸性石鹸と呼ばれることの多い汚れですが、実際は酸性石鹸という分類は学術的にはありません。
呼ばれるようになった要因は、おそらく酸性の性質を持つ石鹸カスなので「酸性石鹸」と誰かが言い始めたのがきっかけです。
そのため、メーカーが作っているお風呂用の洗剤には「酸性石鹸に効果あり」ではなく、「皮脂汚れに効果あり」と記載されています。
2種類の石鹸カスが混ざると落としにくい
金属石鹸と酸性石鹸が別々に発生していれば、それぞれの汚れに酸性・アルカリ性の洗剤を使用すれば落とせます。
ただし浴室では石鹸に含まれる脂肪酸や、水道水に含まれるミネラル・皮脂汚れなどが混ざり合って床や壁に付着します。
こまめに掃除すれば問題ありませんが、汚れが蓄積していくと金属石鹸と酸性石鹸が混ざり合っているため、落ちにくい頑固な汚れとなります。
石鹸カスの除去方法は?
石鹸カスを除去する方法はいくつかあります。
一般的な方法は定期的に水で流すだけでなく、洗剤やクレンザーを使ってこすり洗いをすることが挙げられます。
また、酢やクエン酸などの酸性成分で溶かしたり、重曹などの弱アルカリ性の洗剤で掃除します。
重曹はアルカリ性の汚れ(酸性石鹸)を中和し、酢は酸性の汚れ(金属石鹸)を溶かす効果があります。
金属石鹸の落とし方
酸性の洗剤で中和させるとで効率よく除去できます。
アルカリ性の性質を持つ「カビキラー」などを使用しても落ちない場合は、金属石鹸となっています。
鏡にできるウロコ汚れも金属石鹸なので、酸性洗剤で溶かすか研磨剤で落とします。
軽度な汚れの場合はクエン酸が効果的で、水200mlに対しクエン酸5g(小さじ1杯)の割合で混ぜたクエン酸水を作り、汚れに吹きかけます。
酸によって汚れを中和し溶かしていきます。
クエン酸水で落とせない汚れには、クエン酸ジェルを作り長時間つけ置きすることで、より効果的に汚れを溶かせます。
クエン酸ジェルを作る手間をかけたくない場合は、強力な酸性洗剤を使用することで効率よく掃除できます。
おすすめの洗剤
酸性石鹸の落とし方
酸性石鹸はその名の通り、酸性の性質を持っています。
掃除の際には反対の性質を持つアルカリ性の洗剤を使用しましょう。
酸性石鹸はべたべたしており、黒っぽい見た目で、金属石鹸と比べると比較的柔らかく、落としやすい特徴があります。
代表的な落とし方は重曹水や重曹ペーストを作って汚れを溶かします。
重曹で落ちない場合は、強力なアルカリ性の洗剤を使用することで溶かすことができます。
また、床に付いた汚れならキッチンハイターでつけ置きするのも1つの方法です。
おすすめの洗剤
金属石鹸・酸性石鹸両方付いた汚れには?
2種類の性質が混ざり合った石鹸カスは、酸性洗剤だけ・アルカリ性洗剤だけでは落とせません。
ハウスクリーニングのプロなら汚れを見極めて、適切な性質で濃度を調整した洗剤で汚れを落としますが、素人には難しいため、場合によっては研磨剤で物理的に落とすしかありません。
使用する研磨剤によってはキズが付いてしまうため、キズ付きにくいものを選ぶ必要があります。
おすすめは「ウルトラハードクリーナーバス用」で酸性石鹸の汚れを洗浄します。
キレート剤が含まれており、金属石鹸にも少なからず効果があるため、場合によってはこれだけで汚れが落とせることもあります。
それでも落ちない場合は、お風呂用の強力な酸性洗剤で溶かします。
アルカリ性・酸性、反対の性質を持つ強力な洗剤でも落ちない場合には、研磨剤入りの洗剤で削り取りましょう。
おすすめは「茂木和哉バスタブ用」で、プラスチック面にも使用できるほど、キズが付きにくい研磨剤です。
中には、アルカリ性・酸性の洗剤をまとめて使えばいいんじゃないの?と思われる方もいるかもしれません。
SNSでは重曹とクエン酸を混ぜて発泡させて汚れを落とす方法を紹介されていることがありますが、実際は洗浄効果は全くないため、ムダ遣いになります。
まとめ:白っぽい「金属石鹸」が落ちないのは水垢が原因かも
石鹸カスは石鹸に含まれる脂肪酸や水道水に含まれるミネラルが化合して発生する金属石鹸と、皮脂と脂肪酸が化合してできる「酸性石鹸」の2種類。
それぞれの特徴や掃除方法・おすすめの洗剤について解説してきました。
汚れを落とす最終手段は研磨剤入りの洗剤で削り取る方法ですが、強力な金属石鹸の汚れだと思っていたものが、実は頑固な水垢で、中には研磨剤でも落としにくい汚れの種類もあります。
シリカスケールと呼ばれる、水垢の種類でも強力なもので酸性度の高い洗剤でも溶かせないため、業務用の洗剤を使う必要があります。
危険度も高いため、不安な方は業者に依頼する方がいいかもしれません。