水垢にはクエン酸など、酸性洗剤での洗浄が効果ありますが、長期間放置した水垢や汚れの種類によっては強力な洗剤でも落とせないことがあります。
一見薄くて、すぐに取れそうな水垢なのに、強力な洗剤を使っても全然取れなかった…
このような経験したことはありませんか?
また、洗剤メーカーや掃除が得意な主婦の方など、水垢は数ある汚れの1つとして、ざっくりと紹介されていることがほとんどで、同じ水垢なのに何で落ちないの?と思った方もいるのではないでしょうか?
結論、水垢が落ちない原因は水垢の種類に適した洗剤を使っていないからです。
実際水垢には様々な種類があり、中では一般家庭でも付いてしまう「シリカ系」の水垢が非常に強力で、市販で販売されている強力な洗剤では基本的に落とせません。
- 水垢にはどんな種類があるのか?
- それぞれの水垢に合った洗剤どんなものか?
- シリカ系の水垢をどう落とすのか?
- シリカ系の水垢におすすめな洗剤
洗剤で落としたいのに、どうやっても水垢が取れなかった方の参考になれば幸いです。
硬水の地域は水垢が付きやすい
硬度の高い水を「硬水」、低い水を「軟水」と呼びますが、違いは水に含まれるカルシウムイオンとマグネシウムイオンの合計量によって異なります。
つまり、硬水の場合は軟水に比べてそれぞれのイオンが多く含まれている分、水垢が付きやすいということです。
公益社団法人日本水道協会「水道水質データベース」によると、硬度が高いとされる県は、沖縄・千葉・埼玉・熊本・茨城・東京・神奈川・福岡・愛媛・群馬の順に高いようです。
ただし、高度の低い「軟水」の地域でも浄水場によっては硬度の高いところもあり、一概に判断できません。浄水場別で確認できるため、興味ある方は調べてみるのもいいと思います。
水垢汚れには種類がある
お風呂・キッチン・洗面台など、発生する場所が違うだけで水垢は1つの汚れとして間違った紹介をされていることもありますが、一般家庭にできる水垢だけでも実は4種類に分かれます。
とはいえ掃除のプロのように汚れの種類を判断するのは難しく、詳しくないと適切な洗剤を選ぶのも一苦労です。
一般家庭で発生する4つの水垢
- マグネシウム系の水垢(金属石鹸)
- カルシウム系の水垢
- 青い水垢(銅石鹸)
- シリカ系の水垢
ちなみに、その他の水垢には「鉄系の水垢・硫黄系の水垢・マンガン系の水垢」など。主に温泉施設にできるものもあります。
ここでは一般家庭で発生する水垢の特徴やどんな洗剤なら効果があるのかを紹介します。
マグネシウム系の水垢(金属石鹸)
石鹸やシャンプー・ボディソープには脂肪酸が含まれており、脂肪酸(油脂)と水の中に含まれるマグネシウム(金属イオン)が組み合わさると、「金属石鹸」という物質になり、マグネシウム系の水垢となります。
白っぽい汚れで油分があるため水や洗剤を弾きやすく、乾燥した状態で触ると粉っぽくて、凸凹していない特徴があります。
金属石鹸にはクエン酸などの酸性洗剤が効果を発揮します。
成分に「有機酸」が含まれている洗剤が効果が高く、市販で売られている強力なタイプで基本的には落とせます。
こちらの洗剤
は下記ではキッチンシンクに使用していますが、有機酸が含まれており、金属石鹸に効果があります。効果のある洗剤は下記のようなもの
カルシウム系の水垢
水垢ができる原因の半分以上はカルシウム系の水垢(二酸化カルシウム)です。
水の中に含まれるカルシウムと、空気中の二酸化炭素が組み合わさって、できた汚れです。
表面は凸凹していてザラツキ感があり、セメントや石のように固い特徴があります。
水垢の中では比較的落ちやすいもので、軽度のものなら界面活性剤入りの中性洗剤でも落ちることがあります。
汚れが溜まって厚みが増すと、洗剤成分が内部まで浸透しにくくなるため、繰り返しの作業が必要だったり、状態によってはクエン酸と同程度の酸性洗剤では落とせないことも。
クレジットカードのような硬いカードでガリガリこすると削れていきますが、労力がかかるのと、素材をキズ付けてしまうことがあるのでおすすめできません。
頑固なカルシウム系の水垢は酸性度の高いものほど落ちやすいため、クエン酸より酸度の高い洗剤がおすすめです。例えば、塩酸などの「無機酸」が含まれた酸性洗剤が効果があります。
ただし、対象の素材によっては使い方を誤ると腐食によるサビや変色が起こるため、つけ置きせずにすぐに水で洗い流す等の注意が必要です。
キッチンシンクに付いたカルシウム汚れに、塩酸が含まれたトイレ用のサンポールを使って、掃除する方法を紹介されていることもありますが、つけ置きすると真っ黒に変色します。
青い水垢(銅石鹸)
上記のような青い水垢(銅石鹸)が発生する原因は、銅管から溶け出した銅イオンと、皮脂や石鹸・ボディーソープに含まれる脂肪酸が反応すると青ジミのような汚れが付着します。
なぜ銅なのか?というと、給湯器の配管を通る水道水には塩素が含まれていますが、熱すると塩素が飛んで水が腐りやすくなるため、殺菌作用があり、耐腐食性が高い銅が使用されています。
長年住んで使用されている銅管なら、銅管の表面に酸化銅の膜ができるため、青ジミが起こりにくくなりますが、銅管が新しく、酸化銅の膜ができていない新築物件では発生しやすい汚れになります。
軽度の汚れなら中性洗剤でも落とせますが、時間が経つほど落としにくくなり、強力な洗剤でも落ちないことがあるため、面倒でもこまめな掃除が必要です。
汚れの落とし方は、「アンモニア水とクエン酸」や「酢と塩」を活用したりしますが、繰り返しの作業が必要で手間がかかって大変です。
適した洗剤には下記のようなものがあります
シリカ系の水垢
一般家庭で付く水垢の中でも最も落としにくいのが、シリカ系の水垢(スケール)です。何をやっても取れない鏡やガラスの水垢などはシリカスケールの可能性が高いです。
特徴はうっすらと付いていて、水に濡れると消えたようになります。
ガラスの原料としても使われるシリカは、水道水に含まれるケイ酸(二酸化ケイ素)が主成分で、ガラス質のものに付着すると、素材と一体化して落ちにくくなります。
落としにくい理由は、ガラス素材のものと同質化し、塩酸などの酸性度の高い洗剤を使っても落とせないことです。
素材と同質化するので、もはや汚れではないですよね…
これほど強力なシリカスケール(水垢)を落とし方は3つです。
- フッ化水素酸(フッ酸)で落とす
- フッ化アンモニウムで落とす
- ダイヤモンドのパットで削る
まずフッ化水素酸(フッ酸)は非常に危険な成分で含有率1%未満でも劇物扱いになるため、掃除業者のプロでもほとんど使用しません。
フッ酸に比べ、酸性フッ化アンモニウム(含有率4%未満)と中性フッ化アンモニウムなら劇物扱いにならず、危険度は低いため、個人でもネットで購入できる商品がありますが、業務用のものなので使用には注意が必要です。
次にダイヤモンドパットで削る方法ですが、シリカスケールはカルシウムよりも硬く、削りにくい特徴があるため、専用のポリッシャーが必要になります。
また研磨して落とすにはデメリットがあり、素材に細かいキズが付き、再度水垢が付いた場合はさらに落としにくくなります。
シリカ系の水垢を落とすにはなるべく業者に依頼するのが最善だと思います。
比較的扱いやすい、シリカ系を落とす洗剤
使用の際は必ず注意事項を読み、正しい使い方でご使用ください。
シリカスケールを落とす洗剤の特徴とは?
フッ化アンモニウムが入った洗剤は一般家庭用としては販売されておらず、ドラッグストアやホームセンターでは基本的に購入できません。
商品にもよりますが、公式通販サイトや楽天市場・Amazon(一分取扱っていないものがある)で購入できます。
掃除のプロが使う業務用の洗剤ですので、少量サイズのタイプもありますが、値段が高いです。
テラクリーナーヤマトEX
配合成分には、クエン酸・リン酸・スルファミン酸・一水素二フッ化アンモニウム(4%以下)・界面活性剤・防錆剤が入っています。
塩酸の入ったサンポールを水垢用に代用するくらいなら、防錆剤がある分使いやすくて、汚れも落ちます。
フッ化アンモニウム以外にも異なる酸が3つ入っており、カルシウム系の水垢・マグネシウム系の水垢も落とせます。
容量は1L入っており、使い方は汚れの度合いに合わせて原液~5倍希釈で使用します。
長期間放置すると、内容液が黒ずんで変色してきますが効果などに影響はないため、問題なく使用できます。
茂木和哉 青鬼
一般家庭用として販売されている、水垢汚れを落とす洗剤「茂木和哉」から業務用に販売されている洗剤です。
配合成分にはリン酸、クエン酸、スルファミン酸、一水素二フッ化アンモニウム(4%以下)、界面活性剤、防錆材、増粘剤が入っています。
こちらには増粘剤が入っいている分、ほどよい粘り気があります。
お試しサイズは200mlから購入できます。
物理的に研磨で落とすのは最終手段
シリカスケールよりもさらに硬いダイヤモンドパットで削れば、徐々に取れていきますが、範囲が広いと大変です。
また繰り返し削ることで、素材にキズが入り水垢が付きやすくなるだけでなく、次に付いた汚れが取りにくくなる負のスパイラルに陥ります。
時間や労力がかかり、仮に取れたとしても削る度に状態が悪化していくため、なるべく洗剤で落とす方をおすすめします。
確実に落としたいならハウスクリーニングの業者に任せる
水垢には種類があり、その中でもシリカ系の水垢(スケール)が最も落としにくいことを紹介してきました。
一般家庭用の強力な酸性洗剤を使ったのに水垢が落ちない場合は、シリカスケールの可能性が高いため、業務用の洗剤を利用するか、物理的に削るかの2択です。
部分的になら物理的に削ってみるのもいいかもしれませんが、繰り返し行うことで素材にキズが付いて水垢が落としにくくなります。
後のことを考えると業務用の洗剤がおすすめですが、高価なうえ確実に落ちる保証もありません。
できれば手間や失敗した時のことを考えるとシリカ系の水垢だけはプロに任せた方がいいと思います。
ただしハウスクリーニングの業者とはいえ、シリカスケールの洗浄に対応していない業者もあるため、事前に確認しておく必要があります。
一度業務用の洗剤を使って試してみるか、業者に依頼するか検討してみてください。