掃除や料理に使えて汎用性が高い、便利な重曹。
水に溶かすだけで簡単に掃除用の洗剤として利用できるので、人気の掃除アイテムの1つです。
汗やたばこなどの酸性のニオイを消臭する効果もあり、「重曹水」にして使われる方が多いと思います。
水に重曹を入れて溶かすだけですが、作り方を調べているうちに1つ疑問に感じました。
それは使用する水と重曹の分量です。
調べれば調べるほど、サイトによって分量がバラバラ…
え…、何が正しい分量なのか全然分からん…
ということで、本記事では重曹水を作る際の最適な分量はいくらなのか?
ph測定器で測定。溶けきるか?粉末状にならないか?試しました。
重曹水を作る際の参考にしていただけると幸いです。
重曹水とは?
重曹水を詳しく知らない方に向けて、簡単に説明します。
「知ってるよ」という方は飛ばして大丈夫です。 ここをクリックで次の項目にジャンプ
重曹には3つの用途(掃除用・食用・医療用)があり、主な違いは純度です。
下記は重曹の主な用途です。
- 酸性の汚れ落とし・消臭効果
- 掃除で研磨剤の替わりになる
- 料理に使用
- 重曹水にして飲んで胃酸を抑える
- クエン酸と混ぜてバスボムを作る
- 歯磨き粉にも使用されている
弱アルカリ性の性質を持つため、キッチン周りの酸性の汚れ落としや酸性のニオイを中和し、消臭させる効果があります。
食用では山菜のアク抜きやタンパク質を分解させるため、肉を柔らかくする効果。ベーキングパウダーの代用品として活用できます。
また、食用の重曹水を飲むと胃痛や二日酔いを和らげる効果など。
1つで様々な効果が得られ、価格もお手頃で人気のアイテムです。
重曹水を作る際の正しい分量は?
水と重曹の比率は何が正しいのか?
重曹をたくさん入れるほど、洗浄効果が高くなるんじゃないの?と思うかもしれませんが、一定の濃度以上には上がりません。
また、大量に入れると、水に溶けきらずに粉が残って掃除後は逆に白く汚れることもあります。
そのため重曹水は適量の分量で混ぜて作る必要があります。
下記は検証する前に、重曹水の作り方を紹介しているサイトや、商品ごとのパッケージに記載された分量などを簡単にまとめました。
ネットで検索した重曹水の作り方は分量がバラバラ
重曹水の作り方をネットで検索すると、下記のような分量で作るように紹介されています。
サイト | 水の量(ml) | 重曹の量(g) | 100mlあたりの 使用量(g) |
---|---|---|---|
A | 100ml | 小さじ1 (5g) | 5g |
B | 400ml | 小さじ1 (5g) | 1.2g |
C | 500ml | 大さじ1 (15g) | 3g |
D | 9割 (90ml) | 1割 (10g) | 11.1g |
E | 500ml | 小さじ1 (5g) | 1g |
F | 1000ml | 33~40g | 3.3~4g |
水100mlあたりに対して、使用する重曹は1g~11.1gとその差は10倍です。
情報がバラバラで、何が正解なのか分からなくなります。
商品のパッケージに記載された作り方の分量
商品パッケージに記載されている内容は、用途に対しての使用方法(分量)です。
下記は代表的な掃除用の重曹3つを比較しました。
下記参考画像
商品パッケージに記載された分量は水100mlあたり3~6gと、ネットに比べれば誤差が少ないことが分かります。
ネットの情報サイトと商品パッケージに記載された分量から平均値を取ると4.5~5g(小さじ1杯)
答えは出たんじゃ…
と思いつつ、分量でpH値が変わるのか?洗浄力はどのくらいなのか?逆に入れすぎると掃除後に粉が残って汚れるのか?
興味があったので試してみました。
水100mlに対し何グラムが適度なのか検証
試した分量は次の4パターン
- 水100mlあたり、重曹1g
- 水100mlあたり、重曹3g
- 水100mlあたり、重曹5g(小さじ1杯)
- 水100mlあたり、重曹10g(小さじ2杯)
比較したのは以下の4つ
- 水に溶けきるか?
- ph値は?
- 洗浄力は?
- 乾燥後に粉が残らないか?
対象の汚れは水拭きでは落ちなかった、電子レンジの中に敷いているマットに試してみました。
水100mlあたり、重曹5gまでは水に溶けきる
使用する前に、各重曹の分量を水に入れて溶けきるか試した結果。
水100mlに対し、5gまでは溶けました。
各g数を計測して入れた様子
下の写真、右側は10gの重曹が入っており、溶けきらずに底の部分で粉が沈殿しています。
重曹水をスプレーで使用する際は、粉が溶けきらずに残っているとスプレーが目詰まりして困ります。
基本的にどの重曹も大きな差は無いと思いますが、今回使用した重曹より溶けやすいものもあるかもしれません。
重曹は入れるほど、中性に近づく
水100mlに対して、重曹の分量を変えてph測定器で計測すると大きな差はないものの、意外な値が出ました。
入れた重曹の量が多いほど中性に近い結果に。
下記は水100mlに対して、重曹を入れたgごとの写真です。
ちなみに、水道水はph7.2です。
まとめると以下の通りです。
水の量(ml) | 重曹の量(g) | ph値 |
---|---|---|
100ml | 1g | 8.40 (弱アルカリ性) |
100ml | 3g | 8.30 (弱アルカリ性) |
100ml | 5g | 8.23 (弱アルカリ性) |
100ml | 10g | 8.09 (弱アルカリ性) |
水道水 | 7.2(中性) |
ph値だけでは洗浄力は測れないため、下記にて実際の汚れで試してみましょう。
洗浄力は重曹3g以上の方がキレイになる
カインズホームで購入した、電子レンジの底を汚さない為にするシリコンマットですが、かなり頑固な汚れ(焦げに近い)に対して洗浄力を試しました。
下記写真のように縦に4等分に分けてスプレーし、キッチンペーパーで拭き取ります。
全て拭き取った後がこちら
キッチンペーパーが汚れているので、汚れを分解したようですが、思ったほどキレイにならず…
ぱっと見はほとんど変わってないように感じますが、見比べると黒い点になっている細かいコゲが取れています。
重曹を3g以上入れた重曹水を使用した部分の黒い点は、一部残っているものの使用前に比べて汚れが減っています。
1gしか入っていなかった一番左側はそれほど変わらず。
乾燥後は全て粉は残らない
全て拭き取った後に、白い粉が残るか?
乾燥後確認しましたが、特に粉が残ることはありませんでした。
念のため溶けきらなかった、重曹10gを入れた重曹水で全面にスプレーしました。
10分放置後、拭き取って乾燥させた後を見ても粉が残るようなことは起こらず。
上記のことから、粉が残る原因は「混ぜ不足・重曹を入れ過ぎ」がほとんどだと思います。
落ちなかった汚れにウタマロクリーナーを使ってみた
SNSでも話題のウタマロクリーナーで汚れが落とせるのか試してみました。
特に汚れがひどい部分を中心にスプレーし
布で拭き取ってみると…
ほとんど変化なし…
ただし、よく見ると黒い点が取れて全体的に薄くなったように感じます。
汚れを落とせたのは、ウルトラオレンジクリーナー
油汚れをはじめ、お風呂の石鹸カス・皮脂汚れなどマルチに使える強力な洗剤で試してみました。
全体にスプレーし、5分ほど放置。
泡のボリュームが減ってくるものの、細かい泡が残っています。
少し分かりづらいかもしれませんが、近くから見てみると、写真の中央部分にうっすらと溶けた汚れが浮いています。
右半分を拭き取ってみるとこの通り。
ぱっと見はキレイに取れたんじゃないでしょうか?
よく見ると、取り切れなかった部分が2ヶ所ありました。
重曹水の作り方
作り方は簡単です。
スプレーボトルなどの容器に重曹を入れてから水を入れて混ぜるだけ。
クエン酸に比べると水に混ざりにくいため、容器を振る際は上下ではなくバーテンダーのように8の字にして振るとしっかりと混ざります。
振りが甘かったり、重曹を入れ過ぎた場合は下に沈殿するのでご注意ください。
また作り過ぎて余った際は容器に入れて保管も可能ですが、長期保管はできないのでなるべく使い切れる量を作るようにしましょう。
重曹水を加熱して強力にする方法
水100mlに重曹5gの分量で重曹水を作ると、phは8.2です。
弱アルカリ性なので、頑固な油汚れやコゲ付きは落とせません。
これにより、ph値が高まり洗浄力を上げることができます。
加熱の方法は下記の2つです。
- 水に溶かしたまま加熱する
- フライパンなどで、から炒りする
phを最大まで上げて、汚れが落ちない場合は専用の強力な洗剤(水酸化ナトリウムが入っているもの)を使った方がいいと思います。
重曹で掃除する際の注意点
重曹は天然成分で人体や環境にも優しい成分ですが、弱アルカリ性の性質を持つため、肌の弱い方は肌荒れすることもあります。
特に加熱して強力にした場合は必ずゴム手袋を着用し、掃除しましょう。
タンパク質を分解するため、素手で掃除した際に重曹水に触れてヌルヌルしたと感じたなら、皮膚が溶けている証拠です。
また使用できない素材もあるため、事前に確認しておきましょう。
使えない素材
使えない素材 | 使うと起こること |
---|---|
アルミ製の調理器具、食器 | 黒く変色する |
窓のサッシ | 黒く変色する |
漆塗りの食器 | 表面がキズつく |
傷つきやすい繊細な家具や床 | 表面がキズつく |
無垢材のフローリング | 黄色く変色する |
畳 | 黄色く変色する |
ワックスを塗った床 | ワックスが溶ける・剥がれる |
まとめ:重曹水に最適な分量は「水100mlに対し、重曹5g」
3gでも洗浄効果はありますが、重曹水として最適な分量は水100mlに対して5gがベストだと思います。
10g入れると、溶けきらずに沈殿してスプレーが目詰まりするかもしれないので入れ過ぎないようにしましょう。
下記は100ml以上作る際の目安です。参考にしてみてください。
水の量(ml) | 重曹の量(g) |
---|---|
100ml | 5g(小さじ1) |
200ml | 10g(小さじ2) |
300ml | 15g(大さじ1) |
400ml | 20g(小さじ1・大さじ1) |
500ml | 25g(小さじ2・大さじ1) |
1,000ml | 50g(大さじ3・小さじ1) |
1,500ml | 75g(大さじ5) |
2,000ml | 100g(小さじ2・大さじ6) |